スピーカー塗装(見本帳FN-10)ブラック艶あり
お客様の要望
■スピーカー塗装 FN-10(ブラック)艶あり 塗装NO.1 2014/2/25
シナ合板で作ったスピーカーの塗装依頼です。
写真1 写真2
スピーカーの木地が届きました。
開けてびっくり・・・
写真3 写真4
写真3は小口を機械で切り抜いてそのままの状態ですね!
写真4は端の木が欠けています。(>_<)
搬送中の打痕や傷も随所にあり・・・
写真5 写真6
写真5隙間が1mm以上空いています。
写真6組み立て時の段差が気になります。
もう少しプレス機で押さたり、研磨したりすれば仕上がりも綺麗になり
塗装も綺麗に仕上がるんですが・・・ちょっと残念ですね!(>_<)
スピーカー組み立て時に、もう少し手を掛ければ、回避できる症状です。
○○さまが個人的に作ったスピーカーではないようですが、
出来る限り弊社で対応させていただきます。
さ~今日からスタートです。
■スピーカー塗装 FN-10(ブラック)艶あり 塗装NO.2 2014/2/26
今日は、木地調整を行います。
木地調整とは木地研磨という言い方もしますが、木地を研磨することで
塗料の載せを良くしたり、塗料の吸い込みを抑えたり、また木目を生かす塗装を施すときは、特に木地調整が重要な役目となり、
木地調整をすることにより、木目の発色が明らかによ良くなったりします。
素肌が綺麗だと化粧の乗りも良いですよね!
例えが悪いですが、塗装のそんな感じです。
木地(杢)に化粧を施すのが私たち塗装屋の仕事、女性も木も下地処理が大事という事です。(^_^;)
余談はさておき、木地調整です。
写真1 写真2
まずは、ささくれた木端を瞬間接着剤で接着します。(写真1・2)
写真3
木工用パテで隙間や段差・打痕などを埋めていきます。(写真3)
写真4 写真5
パテが乾いたら、ようやく木地調整に入ります。
小口はミニサンダーで#320布ペーパーで研磨していきます。(写真4)
また、ミニサンダーが当たらないような箇所はハンドで丁寧に研磨していきます。(写真5)
写真6
そして平らな分はベルトサンダーで研磨していきます。
表面のささくれた部分と小口の段差などはこのベルトサンダーで段差をなくします。
天板・全面・側面・裏面・底面すべて研磨します。
(写真6)
写真7 写真7
すべての部分が綺麗に赤ちゃんの肌のように、つるつるになりました。
これで木地調整は終わりです。
今日はここまで。
■スピーカー塗装 FN-10(ブラック)艶あり 塗装NO.3 2014/2/28
先日、木地調整を行ったので、今日は下地塗装を行います。
木地調整は行いましたが、素材がシナ合板なので小口が荒いため、塗料を吸い込んでしまいます。
吸い込みを防ぐために、ワイピングを行います。
このワイピングは、とのこと同じ役割で、性能の良い「洋とのこ」だと理解してください。
弊社で販売しているワイピングのすごい所は、目止め効果はもちろん、着色効果もある優れものなのです。
他にケヤキ色やダークブラン色もありますが
今回はナチュラル色でワイピングを行ったので、ナチュラル感に演出するためのカラーを使用しました。
最終的には塗りつぶしてしまうので、何の色を使用してもOKです。
ワイピングのナチュラル色を刷毛で小口部分のみに塗り・ウエスで拭き取ります。(写真1・2)
写真1 写真2
写真3 写真4
天板等の小口の出ている部分も、すべてワイピングを塗り・ウエスで拭いていきます。
写真5 写真6
ワイピング乾いたら(約2時間ほど自然乾燥)
木工用MDFサフェーサーを吹いていきます。
主液200mlに対して硬化剤100ml薄め液冬用100ml合計 400mlを
明治F110-GT1.3口径(チューリップパターン)にて吹いていきます。
基本的に粘度の高い下地のサフェーサーやポリサンなどの塗料はできれば1.3口径以上がお勧めです。
カラーリングやあっさり塗料を吹きたいときは明治FMⅡ-G0.5(平吹きタイプ)がお勧めです。
写真7 写真8
全面を上に向けているので、全面部分をたっぷり目に吹いています。
その他側面に関しては垂れない程度に吹いています。
(写真7・8)
天板は垂れることがないのでたっぷり・側面は垂れない程度にたっぷりと・・・
今日はここまで。
■スピーカー塗装 FN-10(ブラック)艶あり 塗装NO.4 2014/3/3
今日はサフェーサーの2回目を吹きます。
吹く前に、小口部分やザラツキを#320布ペーパーで研磨します。
ウッドを塗装しことがある方は分かると思いますが、塗装した後って、木の小口が毛羽が立ち
ざらざらしています。
その毛羽立ちを研磨することによってつるつるにしていくのです。
サフェーサーの量や吹き方は前回と同じ
木工用MDFサフェーサーを吹いていきます。
主液200mlに対して硬化剤100ml薄め液冬用100ml合計 400mlを
明治F110-GT1.3口径(チューリップパターン)にて吹いていきます。
写真1
底面・裏面も先に吹き乾燥させた後
裏面を下にして前回と同じように、上面をたっぷりと吹いていきます。(写真1)
■スピーカー塗装 FN-10(ブラック)艶あり 塗装NO.5 2014/3/4
写真1 写真2
小口をサンディングブロックにて#320布ペーパーで研磨していきます(写真1)
極力平らな部分は、サンディングブロックやベルトサンダー等を使って面が平らになるように研磨すると
クリアー塗装を行った場合の仕上がり感が違ってきます。
ベルトサンダーを使って#400にて研磨していきます。(写真2)
写真3 写真4
側面・天板など平らな部分はすべて、ベルトサンダーで研磨します。
ベルトサンダーが無い場合は、サンディングブロックやミニサンダーで対応してください。
次はポリサン(ポリエステル塗料ともいう)吹き
ポリサンは、中塗りの中でも肉もちが良いため、家具のピアノ塗装を施すときによく使われる中塗り剤になります。
エレキギターやピアノ・鏡面塗装によく使われますが、使い方にコツがあったり、硬化の際に熱を持ち火災の原因になるため、
今は敬遠されがちな塗料です。
しかし弊社では、仕上がりを重視したいため、あえてポリサンを使いたいと思います。
しっかりと扱い方を把握すれば大丈夫!皆さんが個人で塗装する場合は、しっかりと取扱説明書を読んで作業に取り掛かってください。
写真5 写真6
ポリサン(ポリエステル塗料)主液400mlに対して硬化剤20ml添加して良くかき混ぜます。
ピンクだった主液も硬化剤を混ぜ撹拌すると写真のようにグリーンっぽく変色します。
こんな色になったら、硬化しますという合図。
使用スプレーガン:明治 F110-GT1.3口径で吹いて行きます(写真6)
写真7
ポリサンの吹き方のコツは、圧を高めに塗料つまみを命一杯開いた状態で吹くのがコツです。
どういう事かというと、粘度が高いという事です。
粘度の高いポリサンを圧を高めにして、吹いていくという事ですね。
ポリサンは吹付中の硬化が早いため硬化剤を混ぜてから約5分以内で吹かないと、ゲル化しますので素早く吹くことを心掛けてください。
私の場合は400mlに対して20mlの硬化剤を添加しましたが、
初めての方は主液200mlに対して硬化剤10mlが良いような気がします。
今日はここまで。
■スピーカー塗装 FN-10(ブラック)艶あり 塗装NO.6 2014/3/6
ポリサンの2回目吹きを行います。
なぜポリサンを2回吹くかというと、中塗りの塗料が厚ければ厚いほど仕上がり感に奥行きが出て
高級感のある仕上がりになるからです。
ベルトサンダーの当たらい場所を研磨していきます。
#400布ペーパーを使用しています。
この作業は、一回目に吹いたポリサンの凸凹を平らにする意味と、次に吹くポリサンとの密着をよくする意味があります。
写真1 写真2 写真3
小口や裏側斜めの部分はサンディングブロック#400で研磨(写真1・2)、平らな部分をベルトサンダーで研磨していきます。#400
全体的に塗装面の艶が無くなるまで研磨します。(写真3)
ベルトサンダーが無い場合はミニサンダーでよいです。
ミニサンダーを使う場合は、表面が平らになるように心掛けてください。
写真4 写真5
ポリサンは硬化剤を入れる前は、こんなピンク色をしています。(写真4)
硬化剤を混ぜると、薄緑っぽくなってきます。(写真5)
緑っぽくなったら硬化しますという合図です。
硬化剤を混ぜた後は、しっかりと撹拌しましょう。(写真5)
使用スプレーガン:明治F110-GT1.3口径(チューリップ式)を使用しています。
ポリサンを吹くときは、最低でも口径1.3mm以上の口径のガンを使用、それはポリサンの粘土が高いからです。
上記以下の口径ですと、塗料の粘土が高すぎで
吹きづらいですよ。
吹き方は前回と同じ3/4日を参考にしてください。
ポリサン主液400mlでスピーカー2台分吹けました。
ピッタリです。
写真6 写真7
写真7のように天板などはたっぷり塗料を載せます。
最後にスプレーガンを30センチほど話して上から慣らすようにたっぷり吹いています。
写真7
立面は塗料が垂れない程度に・・・(写真6)
天板はたっぷりと吹いています。(写真7)
ポリサンの良い所は他の中塗り用のウレタンサンディングと違ってたっぷり吹いても
ピンホールが出ないことです。
ウレタンサンディングなどをたっぷり吹いてしまうと、ピンホールが出ることが多く、そのまま研磨しても仕上げに影響を及ぼします。
そのような意味では、ポリサン(ポリエステル塗料)はたっぷり吹いてもピンホールが出ないので
鏡面塗装やピアノ塗装などのような、深みのある塗装には向いていると思われます。
※この塗装方法は、エレキギターの塗りつぶしの方法と同じですので
エレキギターを塗りつぶしの「艶あり」で塗装したいという方にもこの塗装方法を参考にして欲しいです。
今日はここまで。
■スピーカー塗装 FN-10(ブラック)艶あり 塗装NO.7 2014/3/10
先日吹いたポリサンをじっくり乾燥させたので
今日は研磨作業です。
じっくり乾燥させたと言っても、3日程度ですが、この時期常温での乾燥ではまだ完全乾燥に至っていないので
乾燥室(40℃程度)にて2日ほど乾燥させてました。
写真1
こんな感じで塗料がたっぷり乗っています。
写真2
小口は布ペーパー#400→#600で
写真3 写真4
ベルトサンダーは#400にて研磨しています。
表面の艶が無くなるまで研磨します。
天板・側面・全面・裏側とすべての面を研磨していきます。
これで下地・中塗り処理は終わりです。
■スピーカー塗装 FN-10(ブラック)艶あり 塗装NO.8 2014/3/13
今日はウレタンブラックを吹きたいと思います。
写真1
ウレタンブラックは主液100mlに対して硬化剤10ml薄め液冬用70ml 合計180ml作りました。(写真1)
写真2 写真3
使用スプレーガン:明治FMⅡ-G0.5(平吹きタイプ)を使用しています。
今日はカラーリングという意味と、塗料をたっぷり載せる必要が無いため
明治FMⅡ-G0.5(平吹きタイプ)を使用しました。
スピーカー穴の中からホコリが出るため、穴の中と敷板やそれに付随する箇所を綺麗にエアーでホコリを飛ばしていきます。
それからカラーリングスタートです。
(写真2・3)
写真4
綺麗に吹けました。
ホコリが着かないよう、そ~~~と乾燥室に移動したいと思います。
通常乾燥の場合は今の時期なら最低1日~2日は乾燥させてください。
次の作業に取り掛かれる目安として
足付けした際にペーパーに塗料が絡んでくるようならNG、サラサラ研磨できるようならOKです。
■スピーカー塗装 FN-10(ブラック)艶あり 塗装NO.9 2014/3/17
家具用のウレタンフラット(艶あり)でもいのですが
今回は10:1タイプのウレタンクリアーを使用しています。
すでに綺麗ではありますが、奥行きを出すために今後トップコートを2回吹きたいと思います。
先日吹いたウレタンブラックを確認!!
写真1 写真2
ホコリなどがついていたら、耐水ペーパー#1000でブツ取りします。
また、今回はウレタンブラックを完全乾燥させてしまったので全体を#1000にて研磨(足付け)して
これから吹くウレタンクリアーの密着を良くしています。
ウレタンクリアーを濾し紙にて濾して明治FーZERO Type Tにて吹いていきます。
写真3
写真3 写真4
写真5 写真6
一番目立たない裏面→側面→天板の順番で吹いていきます。(写真5)
最後は天板なのでたっぷりクリヤーを載せています。(写真6)
吹いたばかりなので、少々凸凹していますが数分もすると馴染んでピーンとした表面になります。
クリアーが吹き終わった後、専用の針で着いたホコリを取り除いています。(近日発売予定)
今日はたっぷり目に吹いたので主液200ml硬化剤20ml薄め液冬用140ml(10:1:7) 合計360mlで余りました。
今日はここまで。
■スピーカー塗装 FN-10(ブラック)艶あり 塗装NO.11 2014/4/2
今日は最終工程の磨き作業です。
写真1
ベルトサンダー#1000に吹いた時に出来る吹き肌の凸凹を研磨しています。
写真1
ベルトサンダーが無い方に木端に耐水ペーペー#2000を巻き付けて
平らになるまで研磨してください。
写真2 写真3
コンパウンド中目にて磨いていきます。
この時注意することは、機械で研磨するのであまり力を入れ過ぎたりすると
塗膜が熱で焼けてしまうので、少しずつ水分を足しながら磨いていくのがコツになります。
写真3
写真4
#1000の傷が消えたら今度はコンパウンド仕上げ用で磨いていきます。
この時はパブは専用の艶出しパットに変更して磨いていきます。(写真4)
この作業を、側面2面・全面・天板を同じ作業を繰り返していきます。
ようやく1台目が完成!!
同じ作業をもう一台行います。
超~手間のかかる作業ですが、この作業を怠ると綺麗に仕上がりません。
頑張ります・・・(>_<)
もう一台同じ作業を繰り返し完成!!
完成~~~
写真5 写真6
写真7
大変お待たせいたしました。
スピーカーブラック艶あり
完成しました。
これで素晴らしい音楽を聴くのですね!
なんだか愛着が湧いてしまって、手渡すのが辛くなってきました。
分かります?
この娘を嫁がせるような複雑な気持ち・・・
○○さま
大事にお使いになってくださいね!
ご依頼ありがとうございました。